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家づくりコラム
こんにちは、はるのいえの池田です。
今回は、お家が地震に対して安全か?を考えるための、ちょっとマニアックなお話です。
いきなりですが、戸建て住宅には構造計算の義務がないことをご存じですか?
2階建て以下の一般的な規模の木造住宅は、建築基準法の4号建築物に該当します。
4号建築物には、有資格者である建築士の責任のもと、建築確認申請の審査を簡略化することができる特例が設けられており(4号特例といいます)、ほとんどの戸建て住宅で構造計算が省略されています。
もちろん、構造計算や書類の提出が必須でないからといって自由に設計できるわけではありません。
安全性の確保のため、建築基準法で定めるお家のつくり方(専門的に言うと「仕様規定」)を満たすことが義務付けられています。
この「仕様規定」に則って設計していれば、建築基準法で規定する耐力をもっていると認められるのです。
構造計算にもいろいろありますが、木造住宅の場合は「許容応力度計算」によって主要な部材にかかる応力を計算します。
この計算で、それぞれの部材がその応力に耐えうるかどうかが確認できるのです。
「壁量計算」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
こちらは建物にかかる応力に対し、必要な壁量を満たしていることを確認するための計算です。
この「壁量計算」は、構造計算には含まれません。
そして、先ほどご説明した建築基準法で定める「仕様規定」に、この「壁量計算」が含まれます。
それでは、構造計算をしていなくても仕様規定を満たしていれば安心なのか?
実は、仕様規定に沿った建物でも、許容応力度計算すると「構造安定性を満たしていない」と判定される住宅が多いといいます。
関東地方で、地場工務店の4号建築物のプレカット図面から、100件を無作為に抽出して許容応力度計算を実施したところ、そのすべてに対し「構造エラー」が発生したといいます。
エラーになるということは、「部材にかかる力」が「部材が耐えうる力」を上回っているということ。
エラーの原因は、水平方向の剛性不足に関しては、屋根勾配の問題や火打ち梁の不足。鉛直方向に関しては、耐力壁の不足が全体の7割以上。その多くは直下率の低さに起因していたといいます。
※直下率とは「1階の柱の位置」と「2階の柱の位置」がどのくらいの割合で一致するかということを示した数字。数字が大きいほど耐震性が高くなります。
熊本地震で耐震等級2の住宅が倒壊した際にも、直下率の低さが原因の1つとして指摘されていました。
この結果からも、「仕様規定」を満たすだけでは十分ではないことがわかります。
自由設計で安全性を確保したいのであれば、許容応力度計算は必須といえるでしょう。
また、耐震等級には品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)の性能表示計算によるものもあります。
「性能表示の耐震等級3」は、最初にご説明した「許容応力度計算による耐震等級3」とは計算方法が異なります。
品確法の計算による耐震等級3は、許容応力度計算による耐震等級の2に相当します。
つまり、品確法の耐震等級3では、構造計算をした上での耐震等級3にはまったく及ばないということ。
もし、ほかの住宅会社さんで「耐震等級3です」と言われたときには「品確法によるものですか?それとも、許容応力計算によるものですか?」と確認してみてください。
1.建築基準法の仕様規定
2.品確法の性能表示計算
3.建築基準法の許容応力度計算(構造計算)
この順に安全性は高くなるのだと、みなさんに知っていただければ嬉しいです。
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